第32回 東海若手セラミスト懇話会
2005 年秋期講演会 実施報告

東海若手セラミスト懇話会第 32 回秋期講演会
日本セラミックス協会東海支部


 去る平成 17 年 10 月 14 日(金)財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)において第32回東海若手セラミスト懇話会・秋期講演会が開催されました。(共催:日本セラミックス協会基礎科学部会、日本化学会)本年の夏の蒸し暑さは9月になっても衰えることなく、10月に入り、やっと朝夕が涼しくなった感があります。講演会当日も気温はやや高めでしたが、夏の蒸し暑さは薄れ、秋らしい日でありました。

 会場となったJFCCは名古屋市のほぼ中心に位置し、近くに熱田神宮があります。最寄り駅はJR熱田駅、名鉄神宮前駅、地下鉄神宮西駅と、全て徒歩10分以内の範囲にありますので、公共交通機関によるアクセスには便利なところです。

 今回の秋期講演会から参加登録はWeb上で行えるようにしました。東海若手セラミスト懇話会の Web サイト(http://www.atyc.org/)にアクセスすれば、簡便にオンライン登録できます。オンライン登録及び当日参加者 (2 名) を含め、講師3名、学生参加者 52 名、一般参加者 32 名、合計 87 名の参加者が集まりました。今後も夏期セミナー、秋期講演会ともに参加登録には、オンライン登録を活用する予定です。

 講演会は井田委員長の挨拶から始まり、産業技術総合研究所中部センターの藤代芳伸先生の「新しいセラミックリアクター 〜電極構造制御とモジュール化」、大阪大学の桐原聡秀助教授の「3次元光造形法を用いたフォトニッククリスタルおよびフラクタルの作製」、その後、コーヒーブレークを挟んで、JFCC材料技術研究所所長の平井敏雄先生の「ものづくり−今にして思えば」の 3 件の講演が行われました(写真1)。いずれのご講演も限られた時間内で基礎的な内容から応用分野までの幅広い内容を分かりやすく説明頂きました。最後の講師である平井先生は、皆様ご存じのとおり、元セラミックス協会会長であります。平井先生のご講演ではセレンディピティ−予期していなかった新しい発見−について説明した後、過去の研究内容を多数紹介して頂き、その中からご自身が見逃したセレンディピティーの例、さらに、ご自身の研究が他の研究者に引き継がれ、実用化のための応用研究に発展した例や、製品化された例のお話を頂きました。研究活動から大発見を導くためにどのように研究に取り組むべきかという内容は、学生さん、若手研究者に深く感銘を与えたと思われ、本会の目的の一つである若手の育成に関して、非常によく合致した内容でありました。

 また、前回の夏期セミナーに引き続き、「ベスト質問賞」を設け、各講演に1名ずつ、合計3名を選び、表彰状と副賞として図書カードを贈呈しました。ベスト質問賞の選定は講師の方に一任してあります。運営委員の思惑どおり、各講演後は学生の皆様から多数の質問があり、活発な議論が展開しました(写真2)。そのため、各講演の時間が少しずつ延長し、当初予定していた JFCC の紹介 DVD 上映(約20分)を中止しました。

 講演会後、JFCC 内において4名の研究員に協力頂き、研究室見学を行いました。山口氏の電子ビーム蒸着装置とその装置により形成された耐熱コーティング材料、情野氏の燃料電池の電気特性評価装置、森氏のメンブレンリアクターのための水素ガス分離、福永氏の透過型電子顕微鏡施設をまわり、JFCC の大型装置を見て回りました。

 意見交換交流会は JFCC 内の 2F 食堂にて行われました。テーブル上には多数の食べ物、飲み物が並べられ、平井先生のご挨拶、藤代先生による乾杯のご発声の後、講演会での活発な議論の雰囲気がそのまま引き継がれ、講師の先生、学生及び一般参加者を交え、至る所で様々なグループが出来上がり、熱心な議論の声が聞こえてきました(写真3)。さらに、ベスト質問賞の表彰も行い(写真4)、講師の先生から参加者に向けて激励を頂きました。ベスト質問賞については、各講師の方々から、「非常によいイベントである」とのご講評を頂きました。また、桐原先生及び平井先生からは関西支部及び北海道・東北支部での若手の会でも、是非、採用したいとのお言葉を頂きました。中締めの桐原助教授のご挨拶後は、用意した料理はほぼ完食状態でした。余談ではありますが、JFCCでこの様な会を開いた場合、料理はかなり余るのですが、食欲旺盛な若手の集まりの会のため、用意した料理をほぼ完食したことについては、業者の方も驚いていました。

 本会は、若手セラミックス研究者、技術者の交流と情報交換、また、セラミックスを勉強している学生さんのエンカレッジを目的としています。今回の見学会・意見交換交流会を含めた講演会の開催は、会の趣旨を反映した大変有意義なものであったと確信しており、今後、ますますの発展を目指したいと思います。


ベスト質問賞受賞者(敬称略)
講演1杉浦 健二(名古屋大学)
講演2永 和久(愛知工業大学)
講演3今泉 晴貴(名古屋大学)

文責:(財)ファインセラミックスセンター 加藤 丈晴


写真(画像をクリックすると拡大表示されます。)

invited lecture
写真1 講演会の様子
discussion
写真2 講演後に積極的に質問する学生
party
写真3 意見交換交流会
award
写真4 ベスト質問賞の表彰

2006年05月10日