第69回
日本セラミックス協会 東海北陸支部

東海北陸若手セラミスト懇話会
秋期講演会

 2025年10月17日(金)にあいち産業科学技術総合センター(知の拠点あいち)にて、第69回秋期講演会を開催いたしました。(共催:あいち産業科学技術総合センター、後援:日本化学会、協力:日本セラミックス協会 基礎科学部会)

 以下、進行順に内容を報告いたします。


 第69回 秋期講演会は、招待講演2件と知の拠点あいちの見学という内容で行いました。25名の方にご参加いただき、熱気あふれる講演会にできたことを、実行委員長として感謝申し上げます。

 招待講演1件目は、工学院大学の橋本英樹先生より「赤絵磁器の材料科学」と題してご講演いただきました(写真1)。磁器の色絵の中でも制御が難しいとされる赤絵磁器の発色について、マトリックスであるガラス粉末に着目した制御方法や、赤色を呈するヘマタイトの分散と粒成長のメカニズム、さらには釉薬層との反応やこれを応用したガラスフリットの開発など、原理から応用研究まで幅広くお話しいただきました。伝統的な磁器の技法を様々な視点から解き明かし、新たな顔料の開発に繋げるという、美術、工芸と材料科学の鮮やかな融合に、一同興味深く拝聴しました。

 招待講演2件目は、あいちシンクロトロン光センターの東博純先生より、「シンクロトロン光によるセラミックスの分析」と題してご講演いただきました(写真2)。シンクロトロン加速器の種類や国内の各シンクロトロン光施設の特徴といった基礎的な部分の解説に加え、シンクロトロン光を利用したセラミックスの分析については実際の例を挙げながらわかりやすく説明していただきました。セラミックス分野でシンクロトロン光が強力なツールとなることがよくわかり、各参加者の今後の研究に大変役立つ内容でした。

 どちらのご講演も参加者から多くの質問があり、活発な議論が行われました。

 次に、知の拠点あいちの見学を実施しました。あいち産業科学技術総合センター本部の高度計測分析機器や、昨年度に敷地内へ移転した瀬戸窯業試験場の設備を見学し、様々な装置を用いて地域の窯業分野における技術支援を行っていることが理解できました。また、あいちシンクロトロン光センターについては建物の内部まで案内いただき、シンクロトロン光施設を見学できる貴重な機会となりました。

 講演後には意見交換会を開催し、若手セラミスト達がにぎやかに議論、意見交換を交わしました。併せて、橋本先生のご講演に対する学生さんの質問の中から、ベスト質問賞を1名ずつ選出し、表彰を行いました(写真3) (写真4)。受賞者の氏名と所属は、本報告の最後に記した通りです。

 最後に、本会が盛況のうちに終わりましたのも、講師をはじめ、参加者の方々のご協力の賜物と心より感謝申し上げます。


ベストディスカッション賞 (敬称略)

講演: 招待講演1 質問者: 浅野 颯斗 大学: 中部大学 / 産業技術総合研究所

写真

招待講演1
工学院大学 橋本英樹先生のご講演の様子

招待講演2
(写真2) あいちシンクロトロン光センター 東博純先生のご講演の様子

企業紹介
ベストディスカッション賞表彰の様子

受賞者
ベストディスカッション賞表彰の様子


文責:あいち産業科学技術総合センター 高橋 直哉


作成日時:2025年10月30日